【はじめに】 明石商工会議所青年部(以下「明石YEG」といいます。)は、今年度、創立33年目を迎えます。そして19代目にして初の女性として会長職をお預かりすることとなりました。近年、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下「DE&I」といいます。)という言葉が用いられるようになり、多様な考え方やニーズ等に対応した社会へ進むべき指針が示されています。令和4年には女性活躍推進法が改正され、明石YEGにおいても女性メンバーは年々増加しています。その背景には、性別にとらわれず自分らしく生きることや働き方を選べる時代となり、子育て中の女性も働きやすく、起業しやすい環境が整いつつあるのかもしれません。10年前は、総会でさえも女性が1人という状況もありましたが、現在では女性もいて当たり前の会へと進化し続けており、現在は常に15%前後の女性が在籍しております。それでも今はまだ女性初という言葉が先行しがちですが、進化を続けた先には、女性活躍という言葉は過去のものとなり、誰もが会長職にチャレンジできるような会にするための、最初の1歩を踏み出すこと、それが女性として初めて会長職をお預かりすることの意味の 1 つであると考えています。
さて、ここでみなさんに、「YEGとは何をする会なのか?」を今一度立ち止まって考えていただきたいと思います。入会当初の私はこの答えが見つからず、先輩方によく質問をぶつけていました。 みなさんも、一度入会当時を思い出してみてください。「入会のきっかけは何でしたか?」私は、お世話になっている先輩から「入った方がいいよ」と言われたからでした。そう、きっかけとはその程度のことなのです。差が出るのはそこから先の行動です。私がしたことはたった1つ、「とにかく参加してみる!」でした。まず委員会と事業に1年間続けて参加してみると決めて実行したこと、それが会長職をお預かりすることになる今に繋がっており、決めて実行するということは自社業と同じです。 プライオリティという考え方をすれば、プライベート、自社業、そして青年部の活動があるわけです。10年前には見出せなかった冒頭の疑問に対する私なりの答えは、「経営者として援け合い、自社業の発展をも応援しあえる仲間ができる場(会)」であるといえます。そして、私にとってYEGは一つの居場所であり、成長できる場でもあります。いわばサードプレイスのような場です。事業規模や年齢・経験などに左右されることなく、フラットにご縁を繋ぐことができる場です。 今年度は、まずみなさんに入会したきっかけや「現在(イマ)、ここにいる理由」を振り返った後に、「1年間、楽しむぞ!」というわくわくした気持ちを両手に抱え、共に新年度のスタートをきりましょう。
【多様性について考えてみる機会を】 DE&Iという言葉を先に用いましたが、平等と公平は異なります。ジェンダー論ではなく、男女での生物的な性差は異なるものであり、体のしくみが異なる以上、心にも体にも差は生まれます。能力の差ではなく、例えば一般的な女性が男性と同じ力や体力をつけることは簡単ではありません。また、育児は夫婦共に行うものという概念が浸透いつつあるとはいえ、妊娠出産は女性にしかできません。また、昨今ではインターネットニュースでも流れる、「女性特有の健康課題」に関連する国の経済損失は3.4兆円にも上り、そのうち生理痛・PMS・更年期障害などの健康課題による損失が6,828億円と試算されています。令和5年から健康経営優良法人認定企業申請の健康調査において、女性特有の健康課題解消への取り組みが実施されていないと不適合となる今、取り組みは必須条件となっています。企業は「女性個人の問題」ではなく、会社単位で取り組むべき課題となっているといえます。そこで、若手経営者の組織である我々明石YEGでも、本年度は 1 つのテーマとして、女性ならではの視点をもって会の運営を見た時、どういった進化ポイントがあるのか、メンバーと共に検討し、先を見据えた課題を会全体で共有する機会を設け、経営者としての研鑽を積んでまいりましょう。
【あの人に会いに行こう!】「あっこないだ話したあの人に会いに行ってみよう!」「同じ業種のあの人に話を聞いてみたい」そんな風に、まずは参加してみることからはじめてみましょう。 ビジネスを推進していくために大切なことは、まず顔の見える関係性を作ること。そして重要なのは、信頼関係を築いていくことです。そのためには、まず顔の見える関係性を作ることからスタートし、その先に自社業の発展、そして明石の商工発展に寄与するための活動ができると考えます。メンバーファーストで、あの人に会いに行きたいなと思われる人であること、そんな会を目指しましょう。また、経営に対してや会に参加する上で、近しい悩みをお持ちのメンバーがいるかもしれません。会員数が100名を超えてきた今、全員にジャストフィットしたお悩み解決法というものは存在しないかもしれませんが、柔軟な発想と、同じような悩みを抱えるメンバーならではの視点で、会に参画していただけるような会務運営にトライしていきます。
【商工会議所ってハードルが高そう?】よく言われるフレーズです。特にフリーランスや起業間もない女性から聞かれますが、なぜそう思われるのでしょうか?会の魅力が伝わっていないからです。 SNSとは誰に向けて発信するものしょうか?昨今では簡単にスマートフォン 1 つでショート動画も作ることができ、動く世界を切り取ってイメージを伝えることも可能となっています。 みなさんは何となく生きて、何となく自社の事業をしていますか?おそらくそんな経営者はいないはずです。会の魅力を再発見し、イメージを確立するための意図をもって発信する。「こんなメンバーが楽しみつつ研鑽と交流を深めている」ということを広く発信することが広報です。スタートアップの時期こそ活用して欲しい、そして次の若手経営者にその経験を順に送ることができる、そんな素晴らしい経験を発信してこそ広報の意義があると考えます。
【会の魅力が伝わるその先に、新たな出逢いと絆が生まれます】冒頭で振り返っていただいた「現在(イマ)、ここにいる理由」は何でしたか?それがあなたの周りの大切な人たちに伝われば、新たなご縁が生まれ、仲間が増えていくでしょう。そして、同期入会という横の繋がりも意識し、卒業後も長いお付き合いができるような関係性を築いていただけると考えます。そして、その先には会としてメンバーが増えることによりスケールメリットを活かした活動ができるのもYEGの素晴らしい点であるといえます。1人では、1社では到底叶わないことも、明石YEGとしてなら叶うこともあるはずです。単なる研鑽と交流の場で終わるのではなく、スケールメリットを活かせるような取り組みに繋げるためにも、多くの仲間が増えることは重要です。
【スケールメリットを学びの機会に】前述のように、スケールメリットを生かして実践的に学べること、例えば、「組織論」のようなある程度の規模が必要なことから、冒頭に述べたDE&Iについてなども、1人オーナーでは簡単ではありません。また、近年明石YEGでも取り組もうとしつつある提言活動などもその一つです。YEGで役職を担うと「小さな組織を運営する実践的な学び」を得ることが可能ですが、全メンバーが研鑽の機会を得ることができるよう、「女性躍進やDE&I」、「提言活動」とはそもそも何なのか?など、本年度は、上記のようなYEGのスケールを活かしてこその学びを深めましょう。
【わくわくする事業を!】我々100人の組織の、約10%が飲食店の経営者です。飲食店と一口に言っても様々なジャンルのお店が存在しますが、同じ業種で10%以上を占める業態の皆さんが協力し、何か1つのことに取り組めば、わくわくすることが起こりそうな気がしませんか?そしてわくわくした気持ちは明石YEGとしてもとても大きな強みになると考えます。同じ業種だからこその悩みや強みを活かすことで、経済効果を生むことに繋がる一助となると考えます。
【結びに】本年度、会長職をお預かりするにあたり、「覚悟をもって1年間楽しむ」と決めています。仕事もプライベートも覚悟を持って楽しむマインドがあれば向上するはずです。全員で、ご自身のコンフォートゾ ーンの少し上を目指し、年度末には再びYEG活動を続ける理由を問うてみてください。そして、自社業の業績を振り返ってみてください。何か進化しているはずです。 YEGには多くのスタッフを雇用する経営者から個人事業主まで、様々な事業規模・立場のメンバーが所属していますが、誰もが惜しみなく、メンバーの成長を助け、共によろこんでくれます。まだまだ経営者というには発展途上の私自身、100名余りの経営者の皆さんから、会長職という大役をお預かりするという未来が待っているとは、10年前には想像もしていませんでした。 みなさんは3年度、5年後、10年後の未来を想い描いたとき、達成に向けて必要なものは、わくわくした気持ちとご自身の力だけではないはずです。私は、たくさんの仲間や先輩方の力をお借りしながら、YEGの会長職を1年間お預かりし、自社業はもちろん、自分自身の成長の機会にします。みなさんもぜひ、共に助け合い、共に成長していく未来への1歩となる1年間を過ごし、年度末には、1つでも進化したことの答え合わせをお互いにしていただきたいと思います。 まずは、Babyステップとして、「例会に行ってみる」からスタートしてみましょう。 1年間、どうぞよろしくお願いいたします。
令和7年の基本方針は、3つの方針を軸に活動します。・例会に参加しよう。・学びを次世代に伝えよう。・笑顔で楽しもう。